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社長なのに給料も自分で決められない!?

税金の法律や、税務署の調査官が「一番嫌いなこと」をご存知でしょうか?

「脱税!」もちろん正解なのですが、脱税していない真面目な方でも、調査官に嫌われることがあります。

それは・・・「所得調整」です。

所得とは、税金上でいう御社の「利益」です。
税金は仕組み上、利益を調整するようなことを許さないようにしていますし、
調査官は税務調査でもっと許さない、というわけです。

具体的にどういうことか考えてみましょう。

今期絶好調で売上が伸び、それにともなって利益も伸びました。
今期の利益は計算してみるとなんと、1億円もでそうです。こんなに利益がでると、税金も凄い金額になります。
何とかして会社の利益を減らして、会社にかかる税金を減らしながら、でもムダ遣いをしたくない。
そう考えるのが経営者のサガでしょう。

ではどうするのか?
ここで、社長自身にボーナス(賞与)を出せればいいのですが、役員に対する賞与は、法人税の経費(損金)になりません。
では、社長の給料をいきなり5000万円にすればどうでしょうか。
できれば、今期の頭まで遡って、社長の給料を上げることができれば最高です。
でも、これも認められていないのです。

税金の仕組み上、役員の報酬(給料)は、期が始まってから3ヶ月以内に決めて、
その決めた報酬金額を変動することは許されない法律になっています。
社長は社長なので、自分の給料を自分で決めることができます。でも本当は、自分で決めることはできていないのです。

なぜこんな仕組みなのでしょうか?

冒頭に話を戻すと、それは利益を調整するようなことを許していないからです。

利益がでそうだ → 役員の報酬を増額して利益を調整

こんなことができるのであれば、実質的に会社が支払う税金を操作できることになります。

税務調査でも同じです。
調査官は期末あたりの経費・支出に目を光らせています。
「利益を無理やり減らそうとしていないか?」
「来期に売上を繰り延べていないか?」
「来期の経費を今期に無理やり計上していないか?」
計画性のない利益操作をすると、税務調査で大変なことになりかねないのです。

また、まだ引退を考えていない社長であっても、
いつかは引退する、もしくは、何かあった場合に引退せざるを得ないリスクは、経営上いつも考慮しておかなければなりません。
そこで、引退するときに税務上もっともリスクなのは、退職金の金額設定です。

退職金は毎月受け取る給料(役員報酬)と違い、かなり高額になりますし、
退職金で老後の生活等を考えるべきものですから、税務上の課税は優遇されています。
つまり、給料よりも、退職金の方が税金は安いのです。

ここで問題になるのは、退職金の金額設定。高い金額を支給してしまうと、
税務調査で「この退職金は高いです!」と言われてしまいます。
役員報酬と同じで退職金すらも、自分で決めることができないのか・・・

さてここでまず、退職金の金額設定に関して知っていただきたいことがあります。
役員の退職金は、通常このように計算されます。

適正な退職金=①在任年数×②功績倍率×③最終報酬月額

この式を解説すると、「①在任年数」は社長を何年したかです。
長ければ長いほど、会社に貢献したということで、退職金の額は増えることになります。
もちろんこの期間は操作できるものではありません。

「②功績倍率」とは、あまり聞きなれない言葉ですが、社長でいえばだいたい「3」前後が目安になります。
そして最後の「③最終報酬月額」。これはその名の通り、引退するときの最後の月額報酬です。

例えば、社長を20年間してきて、功績倍率を3、最終月額報酬が100万円であれば、
退職金は6000万円ぐらいまで出しても、税務調査では文句言われないだろうというわけです。

ここで真面目な社長ほど、退職金で驚くことがあります。
真面目な社長は、会社のためにと、自分の報酬を抑えている場合が多いのです。
もちろん会社のことを考えれば、それはベストなのかもしれませんが、そのまま引退してしまうと、
最終報酬月額が低いので、退職金がそれほど支給できない結果になりかねません。
これは、会社の経営が厳しくなったときに、役員報酬を無理やり下げる場合も同じリスクがあるのです。

いきなり利益がでても、赤字に陥っても、役員報酬を変動させるのは、
常にリスクがあるということは知っておいてほしい事実なのです。

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