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不服申立て

税務調査の結果として、誤りがまったくなければ「申告是認」。
誤りがあれば、2つの終わり方があり、「修正申告」を提出するか、
「更正」という税務署からの処分になるのかを選択することができます。

誤りがあった場合、税務調査のほとんどは修正申告になるのですが、
これはあくまでも税務署(調査官)からの指摘に納得できる場合です。
否認指摘の内容にどうしても納得できなければ、「更正」を選択せざるを得ません。

なぜなら、修正申告を提出すると、「不服申立て」ができないからです。
つまり、納得できなくても、修正申告を提出してしまうと、その後争うことができません。
逆にいえば、更正なのであれば、納得できないのであれば不服申立てという手続きを行うことで、争うことができるのです。

ここで勘違いしやすいのは、修正申告を提出しても、加算税や延滞税は処分ですから、
加算税や延滞税の減額や取消しについては、不服申立てで争うことができるということです。
例えば、否認指摘には納得したのだけど、重加算税には納得できない場合は、重加算税だけの取消しを争うことができます。

さて、税務調査の内容に納得できず、万が一不服申立てをした場合、どのようになるのでしょうか。

手続きの流れなどを解説する前に、不服申立ての特徴を挙げておきましょう。
まず、不服申立てとは、あくまでも納税者の救済制度です。
つまり、税務署から恣意的な課税を受けた場合のように、納税者を救うことが目的となっていますので、
不服申立てをしたからといって、税務調査以上の不利益をうけることはありません。
例えば、税務調査で100万円を課税され、不服申立てをしたら違う誤りが発見されて、
120万円課税されるなどの追加的リスクはないのです。

また、不服申立てはあくまでも訴訟ではなく、行政手続きです。
訴訟とは違い、手数料などは一切かかりません。
さらに訴訟と違う点は、訴訟は通常、代理人となる弁護士に依頼することになりますが、
不服申立ては弁護士に依頼する必要はありません(もちろん依頼しても構いません)。
税務調査の延長で、税理士が代理人になることができるのです(税理士は訴訟において代理人になることはできません)。

不服申立ての手続きは具体的に、異議申立てと審査請求に分けることができます。
処分から2ヶ月以内に税務署に対して申立てを行うのが「異議申立て」、
国税不服審判所に対して申立てを行うのが「審査請求」となります。

異議申立ては、同じ税務署によって(実質)審理が行われます。
これは通常、担当調査官を変えて再調査を行うものです。
異議申立てにおける審理は、決定までに1ヶ月と非常に短く、
また最終決裁者である税務署長が同じため、納税者側が勝つ確率は極めて低いといえます。
異議申立ての決定内容に不服がある場合、納税者は審査請求を行うことができます。

また、青色申告者に対する処分であれば、異議申立ての手続きをせず、直接審査請求を行うことが可能です。
国税不服審判所の審判員は国税職員が多いのですが、最近では外部からの登用も進めていることもあり、
課税庁側寄りの裁決を下すことは少なくなっているように感じます。
審査請求の結果(裁決)、それでも不服がある場合、裁判所に対する申立てを行うことになります。
これ以降の手続きは、裁判(訴訟)になるのです。

さて、では不服申立てを行えば、どの程度の割合で納税者が勝てるのでしょうか。
実はこの数字は国税庁のホームーページで公表されています。

「平成24年度における異議申立ての概要」
http://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2012/igi_h24/index.htm

「平成24年度における審査請求の概要」
http://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2012/shinsa/index.htm

「平成24年度における訴訟の概要」
http://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2012/sosho_h24/index.htm

この公表資料から把握できることを簡単に説明しておくと、納税者側が全面的に勝つ(全部認容の)確率は、
異議申立て:1~2%
審査請求:4~5%
訴訟(裁判):10%以下
となっており、非常に低い確率であることがわかります。
この確率と、争う金額、税理士や弁護士費用まで考えて、不服申立てをするのか判断する必要があるのです。

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