国税庁からの発表によると、税務調査の件数は減少傾向にあるものの、
1年間で法人、個人事業主それぞれ10万件程度行われています。
その中で、税務調査では20%以上の事業者が申告漏れを指摘され、
調査官から指摘される申告漏れの平均はおよそ1000万円です。
この数字を見れば確かに税務調査が企業にとってとても怖いものであるかのように見えます。
もちろん、およそ500万ある事業所の中で税務調査が入るのはおよそ4%~5%ではありますが、
税務調査には時間の拘束と追加の納税という2つのリスクがあり、
事業者にとって税務調査のイメージは決して良いものではありません。
それでは税務調査はどれぐらいの頻度で入るものなのか?
税務調査の頻度は会社によって全く異なるため、明確な頻度を提示することはできません。
そのため、毎年税務調査がくるという事業者もいれば、創業してから一回も来ていないという事業者もいるかもしれません。
しかし、ほとんどの事業者が7年ほど事業を行っていれば、一回ぐらい税務調査を受けることになるとは思いますが、
税務調査の件数が年々減少していることを考えると、税務署も対象を絞り込む傾向が強まっていると考えるのが妥当です。
実際には、業種の特性により税務調査が入りやすいという分野を除けば、
一般的には、売上や利益が大幅に伸びた年の申告後や、
過去に税務調査で申告漏れを指摘されているような会社は税務調査が入る確率が高いといわれています。
さらに、税務調査から目を背けたくなる事業者も数多くいるかとは思いますが、
税務調査は断れないことは法律で明言までされていないものの、解釈上断れないとなっていますので、
税務調査は時期をかえてもらうことはできても、調査自体を断ることは実質できません。
また、税務調査におけて申告漏れを指摘される確率が20%を超える理由として、
調査官から執拗な質問攻めをうけるということもあるかもしれません。
税務調査専門の税理士のように多く現場に立ち会ってきている専門家でもなければ、
税務調査を受ける側としては人道的に許せないような言い方をされれば、感情的に対応してしまうと思うかもしれませんが、
それでも冷静に対応することが税務調査をスムーズに終わらせることにつながります。
調査官としても、冷静にしっかりと説明してもらえれば納得することが多いですが、
相手が専門家であるということ引け目から、事業者も思うような対応ができないというのが現実的な声です。
どんな会社が狙われる?
①売上が伸びているけど利益が伸びていない会社や同業より利益率が低い会社
利益がたくさん出ている会社が狙われやすいことはもちろんですが、
売上が伸びているけど利益が伸びていない会社や同業他社より利益率が低い会社は、
利益を圧縮して税金をごまかしているのではないかとと疑われやすく、税務調査も入りやすいといわれています。
②変動が大きな勘定項目がある
給与はもちろん、外注費・広告宣伝費など、同じ経費科目が過去のデータより大きく変動していると、
税金を抑えるために無理に経費を水増ししていると疑われやすく税務調査が入りやすくなります。
さらに、特別損失などで一時的に大きな額の計上をすると、これも確認のため税務調査が入りやすくなります。
③重点業種に該当する会社
税務署は毎年、重点的に調査対象とする業種を決めています。その業種に該当する場合には税務調査は受けやすくなります。
④説明が理解されにくい新業種
新形態のビジネスについては、説明を求められることが多く、必然的に税務調査が入りやすいと言えます。
さらに、調査時にも調査官にこちらの説明を理解してもらいにくいなど、税務調査官の勘違いや憶測が起こりやすいので、
しっかり対策しておくことが重要です。