税務署も税務調査だけを行っているわけではありませんから、
「税務調査」と一言でいっても、実はどこまでが税務調査なのかわからないケースもあります。
例えば、税務署からの問合せの電話や封書が届く場合。
提出した税務申告書の内容について、不明点等があれば税務署から連絡が入ることもあるのですが、
ただの問合せであれば「税務調査ではない」わけです。
どこからが税務調査で、どこまでが税務調査ではないのか、これをきちんと区分する必要性というがあります。
なぜなら、過少申告加算税(10%)が課されるのか、課されないのかは、税務調査が行われたかどうかで判断するからなのです。
わかりやすく説明しましょう。
税務署に提出した税務申告書に誤りがあり、結果として追加で税金を納めなければならない場合、「修正申告」をすることになります。
この修正申告なのですが、2つのケースがあります。
①自主修正申告
自ら誤りに気付き、自ら修正申告をした場合は、
過少申告加算税(10%)は課されません(遅れて税金を納付したわけですから、利息分である延滞税はかかります)。
②税務調査による修正申告
税務調査が行われ、調査官の指摘に基づいて、
その内容に納得して提出した修正申告には、過少申告加算税(10%)が課されます。
つまり、自ら誤りに気付いて、自ら税金が足りなかったことを申請する人には、
罰則的な規定である加算税は課さない、という規定になっているのです。
では話を戻すと、税務署からの問合せは、あくまで問合せなのであって、税務調査ではありませんから、
結果として税務署の指摘通り誤りがあり、修正申告書の提出となっても、加算税は課されないというわけです。
なお、税務調査は事前の予告があるのが原則ですから、
事前の予告がない税務署からの連絡は、税務調査ではなく、ただの問合せと考えて間違いありません。
税務署からの問合せで修正申告しても、加算税が課される間違った処分もあり得ますので、この点ぜひ注意してください。
また、税務調査から法改正があり、税務調査の手続きが大きく変わるにことになりました。
これに付随して制定されたルールがいくつかあるのですが、
一般の方向けに解説しているものが、国税庁のホームページで公表されています。
「税務調査手続に関するFAQ(一般納税者向け)」
http://www.nta.go.jp/sonota/sonota/osirase/data/h24/nozeikankyo/pdf/02.pdf
この中に、下記の質疑応答事例があります。
【問】
税務署の担当者から電話で申告書の内容に問題がないか確認して、必要ならば修正申告書を提出するよう連絡を受けましたが、これは調査なのでしょうか。
【答】
調査は、特定の納税者の方の課税標準等又は税額等を認定する目的で、質問検査等を行い申告内容を確認するものですが、税務当局では、税務調査の他に、行政指導の一環として、例えば、提出された申告書に計算誤り、転記誤り、記載漏れ及び法令の適用誤り等の誤りがあるのではないかと思われる場合に、納税者の方に対して自発的な見直しを要請した上で、必要に応じて修正申告書の自発的な提出を要請する場合があります。このような行政指導に基づき、納税者の方が自主的に修正申告書を提出された場合には、延滞税は納付していただく場合がありますが、過少申告加算税は賦課されません(当初申告が期限後申告の場合は、無申告加算税が原則5%賦課されます。)。
なお、税務署の担当者は、納税者の方に調査又は行政指導を行う際には、
具体的な手続に入る前に、いずれに当たるのかを納税者の方に明示することとしています。
このように、税務署からの誤りの指摘があって、修正申告することになったとして、加算税は課されないというわけです。
ここで大切なのは、
「税務署の担当者は、納税者の方に調査又は行政指導を行う際には、具体的な手続に入る前に、
いずれに当たるのかを納税者の方に明示することとしています。」
という部分です。
税務署から連絡があった場合、
「この連絡は調査なのですか?それとも調査じゃない(行政指導)なのですか?」と確認しておくことが大事なのです。